インフルエンザをはじめとするウィルスは、一般的には乾燥に強く、湿度が40%を下回ると増殖しやすくなります。空気が乾燥しているため、敵が大変活気づいている状態です。
乾燥に強い敵は、言い換えれば湿気に弱い敵です。湿度が高まるとインフルエンザウィルスの増殖力は落ちます。また、湿気によってウィルスを抱えた埃や飛沫が重くなり飛び回りにくくなることで、ウィルスが体の中に入るチャンスそのものを減らすことが出来ます。更に、粘膜が潤うことで免疫力が発揮されやすくなり、少ない数のウィルスであれば、身体に害をなす前に倒しきってしまうことだって可能です。
乾燥を防ぐことで風邪やインフルエンザなどを予防したり、かかっても症状を和らげたりすることが出来ます。いくつかお勧めを書いておきますね。
(1)お部屋を加湿して下さい。広い事務所などは難しいでしょうけれども、居間や寝室などの、長い時間滞在する、壁やドアで区切られて湿度を逃がしにくい場所は、加湿の効果がとても上がりやすいのでお勧めです。
(2)粘膜を潤しましょう。水分をまめに取るのはとてもお勧めです。ガムや飴などをなめたり噛んだりすると、口の中の筋肉が動き、唾液腺が押されて唾液が沢山分泌されて、喉や鼻が潤います。唾液には抗菌作用があるので、二重にお勧めですね。
(3)マスクも良いですね。外から入ってくる乾いた空気も、湿ったマスクの中で緩和されてから体内に吸い込まれていくため、粘膜が乾燥の影響を受けにくくなります。飛沫に乗ってくるウィルスを侵入しにくくする効果もあります。
(4)そして、個人的にお勧めなのが「就寝前の歯磨き」です。「ウィルスや細菌が粘膜で増えるから症状が出る」ということは、裏を返せば「最初にウィルスや菌の数をがっちり減らしておけば、多少増えても症状が出る数まで増えるまでの時間を稼げる」ということです。病原体が増殖しやすい就寝中に、相手のスタートラインをぐーっと後ろに下げて、相手がゴールまでたどり着けなくする戦略です。最近では、老健施設などでもインフルエンザ予防のために積極的に取り入れられているんですよ。

文字ばかりでも殺風景なので写真を一枚。当院に現れた段ボールの妖精(中身は甥っ子)。