お客様から「食べるかしら?」とハッカ飴を頂きました。1973年全国菓子大博覧会・大臣賞受賞と裏書きのある由緒正しいハッカ飴。

個包装を解くとハッカの葉をかたどった飴が現れます。すごい存在感。

子供の頃に食べたハッカ飴が非常にキツくて、それ以来余り口にしてこなかったハッカ飴。口に入れてみると、とても穏やかなハッカの爽やかな香りと、優しい甘みが口の中に広がります。とても上品で美味しかったです。まだまだあるので、楽しんで頂こうと思います。

以下、少し考えたこと。

野生動物は、基本的には他の生物を食べて生きています。肉食をもっぱらとする動物以外は、何らかの形で植物を口にするのですが、食べられる側の植物も、黙ってボリボリ食べられているばかりでは滅んでしまいます(かといって喋るわけではないけれど)。そのため、自然淘汰の過程で、より動物に食べられにくいような形質を獲得していきます(そうした形質を持ったものが子孫を残せて、生き残ってきた、ということ)。苦味だったり、酸味だったり、トゲトゲだったり、毒だったり。普段私たちが食べる野菜は、品種改良が重ねられて、極めて無毒に近い状態になっていますが、ナス科やマメ科の植物は毒持ちのオンパレードなんですよ。

対する野生動物の側も、毒に負けっぱなしでは食べ物がなくて滅んでしまいます。そのため、こうした毒に対する強さを、同じく自然淘汰の中で獲得していきました。例えば、植物を大量に食べる動物は基本的に身体が大きくなる傾向があります。身体が大きい方が体積が増す(単純比でいけば、身長が2倍になれば体積は8倍になります)ため、同じ量の毒が入ったときにも体内における濃度が上がりにくいため、というのが理由の一つになっています。言い換えれば、毒に対する耐性は、身体の小さな子供がより弱くなる、ということです。小児科でお薬を貰うときには体重を聞かれるのも同じ理由です。

そんなわけで、生き物は、幼い頃ほど苦味や酸味などの刺激に対して敏感になるような性質を持っています。わさび、唐辛子、ピーマン……子供が苦手な、刺激を伴う食べ物は、大人になって身体が大きくなり、刺激に対する耐性を獲得して始めて、その裏側にある美味しさにたどり着けるようになるのかも知れません。自分にとっては、ハッカ飴もそうだったんだろうなぁ、と。

治療をしていて思うのは、その人が好む/好まない刺激も、その人の身体が受け容れられる刺激の量も人それぞれ、千差万別であるということです。刺激に強そうな筋骨隆々の若い男性が、僅かなお灸で熱い熱いと悲鳴を上げたり、90歳を超えたお婆さんが「もっと強いお灸はないかい?」と仰ったり。お客様からの言葉での要望のみならず、お体から感じられる形質をしっかり読み取って、適切な刺激をお体に与えられると、効果は高まりやすいと感じています。

弱い刺激は満足感を損ねますが、強すぎる刺激は神経や筋肉を却って緊張させたり、筋肉や骨、神経などを損害してしまうことがあります。どちらにもならない、その方の身体に合った種類の、適切な量の刺激を提供すること、常に強く意識していることです。