【最初に三行】
1.暖かい日は一日の内での温度差(日較差)が大きくなりやすい
2.日較差が大きいと自律神経が混乱を来し、風邪を引きやすくなる
3.日中暖かい日こそ、夕方以降は意識して暖かい服装と飲食を
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昨晩から今朝にかけて雨をたっぷり降らせた強力な低気圧が、北東に向かって抜けていきました。台風並みの吸引力を持って今なお発達を続けている為、台風一過と同じシステムで強烈な吹き戻しが吹き荒れています。この風に引っ張られて、南洋から暖かい空気が流れ込み、しかもフェーン現象を起こしているため、今日はとても暖かくなりました(風邪に吹きさらされているところでは寒いですけれども)。
こういう「日中暖かい日」というのは、実は体を冷やしやすく、体が冷えることで免疫が働きにくくなり、風邪などの感染症にかかるリスクが高い日でもあります。特に今の時期、日中暖かい日でも朝晩はまだまだ寒いです。一日の内での温度の差(日較差といいます)が非常に大きくなります。日較差が大きいと、体温を調整する任務に就いている自律神経が混乱を起こし、体温の調整の仕方を間違いやすくなるのです。体の中に熱を貯め込まなくてはならない寒い時間帯になっても熱を逃がし続けてしまったら、体は一気に冷えてしまいます。自律神経が「体が冷えすぎてしまった!」ことに気づくと、それ以上熱が逃げないよう、毛細血管を引き絞って、熱を運ぶ役割を持つ血流を低下させます。血流の低下は、その血液に乗って体内をパトロールしたり、侵入した敵を迎撃したりする免疫細胞の機動力を低下させます。結果、免疫機能が低下して、喉や鼻などの粘膜にとりついた外敵=ウィルス・菌などの病原体が増殖しやすくなります。連中がある程度のラインを超えて増殖すると、実際の症状として私たちを苦しめるのです。
寒くなる時間帯に体が冷えるから免疫力が低下するのですから、体を冷やさなければ免疫力を高いまま保てるのも道理です。自律神経が温度調節に失敗しても、環境を整えて冷えないようにしてあげれば良いのです。ただ、
最も良いのは、服装で体温を保つことです。日が傾いてきたら、日中の暖かさは一旦忘れて、元通り「冬の支度」をしっかりとして下さい。首、手先足先、腕、脚は熱が逃げやすい場所ですから、こうした場所をしっかり覆うような服装を心がけて下さい。腹巻きや股引などをご利用頂くと、とても効率的に保温が出来ます。
飲食物も、暖かいものを意識して選んで下さい。「熱が逃げる=熱が足りない」ですから、体を内側から温めることでも寒さに対抗出来ます。
暖房をご利用頂くことも大切なのですが、並行して加湿をすることを強くお勧めします。こうした天気の日は外気も乾燥するので、当然屋内も乾燥します。この状況で暖房に頼って環境を整えようとしすぎると、室内の乾燥が非常に強くなり、喉や鼻の粘膜が乾き、やはり免疫機能が低下して、却って感染のリスクを高めることにもなりかねません。
暑さ寒さも彼岸まで、などと申します。天気が変わりやすく、日ごとの寒暖の差も激しくなりやすい時期です。いつもよりちょっと意識して、体調を保つ為に少し余分に手間を掛けて頂けると、体調を崩さないで済みます。体調を崩した時に払う時間・金銭・精神・体力的なコストを考えれば、遥かにお得なコストになると思いますよ。