台風21号「ラン」が勢力を強めながら日本列島を縦断するコースを維持しています。厳重な警戒が必要です。

【最初に三行】

[1]以前の予想よりも進行が早くなっています。接近前から通過後までの予定の再考をお願いします。

[2]狭い地域で非常に強い雨になる恐れがあります。大雨に対する警戒を。

[3]中心気圧が低いまま到達するため高潮のリスクがあります。沿岸部では厳重な警戒を。

18日夕方時点での画像と比べてみましょう。

※画像はいずれも気象庁の台風情報ページから

予報円の中心点を見ると、南大東島(鹿児島のほぼ真南、沖縄の東の方にぽつんと浮かんでいる島)あたりへの到達が旧図では22日15時頃なのに対し、新図では22日0時頃となりました。大分進行速度が上がる見込みになることが判ります。速度が上がると、台風が長く留まり続けることがなくなるので、広い地域で雨の量がべらぼうになるリスクは下がりますが、風が強くなるリスクが上がります。特に、台風の風の向きと台風の進路が一致する台風の進路の右側(時計盤に例えると1-2時から7-8時にかけての側、東から南にかけての辺り)では、両者が合わさって風速がドンと増します。そもそも、今回の台風では、暴風域自体が非常に広く、進路の左右はあまり問わないかも知れません。

[1]風が強くなると、横転・脱線の危険が増す列車は安全のため速度を抑えるため間引き運転を余儀なくされますし、強風での架線事故なども非常に起こりやすくなり、交通ダイヤの著しい混乱が発生する可能性も増します。ましてや、関東地方への到達は月曜日の朝、通勤ラッシュの時間にドンピシャリです。時間に十分な余裕を持った行動を心がけてください。可能なら月曜は出勤時間を遅らせるか休みを取るかするのが無難です。そのどちらも無理で何としても月曜朝に目的地にいなければならないなら、前泊まで考慮に入れなければならないでしょう(その場合は自宅の家族・家財へのリスクを低減できなくなりますが……)。

[2]速度が上がり風が強くなると、暖かく湿った強い風が流れ込んでくることで断続的に強力な積乱雲が発生し続けて、狭い範囲で記録的な降水量につながりやすくなるリスクが跳ね上がります。舗装面が多く水の逃げ場がない都市部では、生命に関わりかねない浸水の被害が発生することを想定する必要があります。逃げ場のない地下に留まることは危険です。就寝もできるだけ高いフロアで。

[3]台風21号は進路がほとんど海上であるため、陸上で勢力を削がれることが期待できません。中心付近の気圧が950hPaという強い勢力を保った状態で、足摺岬から房総半島にかけての地域で本州または四国に上陸することが予想されます。中心気圧が低いと、海面が台風に向かって吸い上げられるため、潮位が高くなり、沿岸部では高潮のリスクが高まります。特に、都市近郊部の海抜が低い、または0メートル以下になるような地域ではリスクが非常に高くなります。23日の朝の満潮が7時過ぎになる見込みのため、上陸地点が東寄り(名古屋~房総半島)になった場合はタイミングが重なり、さらにリスクが高まります。リスクの高い地域では浸水に備えて下さい。ハザードマップを確認して安全な避難経路を確認しておくこと、早目の避難を心がけることを強くおすすめします。念のため貴重品や、水に弱い生活・情報家電などを家の2階に一時的に避難させることも考慮された方がいいかもしれません。